しんとれいのワインな日々

健康に気をつけつつ、飲んだくれてます

今年も試練の鹿児島マラソン、自分とのガチンコ対戦の結果は…

しんです。

 

いよいよ鹿児島マラソン当日。なんといっても自宅がスタート場所のすぐ近くなので、去年のようにタクシーを探す必要もなく、菜の花マラソンのように電車で移動する手間もなく、気分的に楽でした。午前6時に起床し、午前7時45分ごろに自宅を出ると、5分後にはスタートエリアに着いてしまいました。

天気はくもり。仕事が忙しくて練習時間はかなり少なかったけども、体の調子はよさそうです。そして、今回の目標は、こちら。

1)5時間切り

2)自己ベスト(5時間16分)更新

3)完歩ではなく、完走(途中で歩かない)

現実的な話として①も②も難しいだろうけど、最近の2大会(昨年の鹿児島、今年の菜の花)ではできなかった③は、なんとか達成したい。でも、とりあえずは今季最後のマラソンを楽しみたい……などと思っていましたが、これが波乱に満ちた旅路、そして私としては記念すべき大会となったのでした。

 

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スタート前の午前8時すぎ、ぽつぽつと雨が降ってきました。あまり天気予報をしっかり見てこなかったのですが、昨晩の段階では基本的にくもりベース、雨が降り出すのは夕方からとなっていました。多少降るのはしょうがないでしょう。

そして午前8時半にスタート! 去年のようにならないこと祈りつつ、抑え気味のペースで行きます。とりあえずは30キロまではキロ7分で。

 

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号砲が鳴ってから、スタートラインまでは5分ほど。その直後の道路わきで、いきなりゲロっている(?)ランナーがいましたが、何があったんでしょうね…。

見なかったことにして、ペースに集中します。まずは南へ走り、鴨池へ。昨年は気づかなかったステーキを提供するエイドも見つけました。雨が降っているので、立ち寄るランナーがすくなさそうでしたが。

 

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トンネルをくぐります。トンネルを抜けると、鹿児島市電が走る電車通り。

 

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天文館を過ぎ、山形屋の前で予定通り、れいを見つけました。行ってくるでよ~。

 

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西郷さんの銅像の前を右に折れて、いよいよ市街地から離れていきます。雨はなかなかやみそうもありません。

 

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12キロあたり、仙巌園まで来ました。すっかり桜島は見えなくなってしまいました。

 

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5時間でゴールするペースで走るペースランナーに追いつきました。これからしばらくはこの集団について行くことにします。だいたいキロ6分50秒前後、私が目指しているペースで走るはず。ただ問題は、5時間を切ろうとすると、給食、トイレに割く時間がほとんどないことです。

 

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ラップの画像と前後しますが、ちょうと午前11時(スタート号砲から2時間半)でハーフの距離を走りました。ぺーサーってすごいですね。

それにしても雨はやむどころか、ざんざん降り。もう何の景色を見るわけでもないので、ひたすらぺーサーについて行きます。給水のたびに離されても、がんばって追いつきます。重富で折り返したころも大雨。でも、沿道にはたくさんの応援の人たちがいて、励まされます。

給食が充実しているハーレーダビッドソンのエイドに立ち寄ろうかとも思いましたが、そうすると足も止まるし、ぺーサーに2度と追いつけなくなるとその後にふんばれなくなりそうだったので、スルーしました。雨の中、もう写真を撮る余裕もありません。ストレッチどころか、給食の時間すら惜しい。私は覚悟を決めました。

ここまで来たら、行けるところまで行ってやる……。

 

マラソンでは実際の中間地点ともいえる30キロを、ぺーサーとともに通過。ペースを抑えていたぶん、本来であればこのあたりからペースを上げたいところですが、余力はありません。ゴール直前までぺーサーの後についていくことにしよう……、

と思っていたのですが、尿意には勝てませんでした。

35キロ地点で、ついにがまんできずにトイレに寄りました。2つの仮設トイレに、並んでいるランナーが5、6人ほど。タイムロスを考えると、もうぺーサーには追いつけないでしょう。

 

「終わった…」

 

5時間切りという目標は、またしても打ち砕かれたのです。

 

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立ち止まると、足の筋肉のこわばりが一気にきました。太ももから湯気があがっています。濡れそぼった体がどんどん冷えていくなか、防波堤に手をつき、軽くストレッチをします。ただいま12時30分。スタートしてから4時間、一度も立ち止まらず、ここまで来ました。

トイレを済ませて、再び走り始めました。35キロのタイムは11分51秒。ここまでキロ7分弱で来ましたから、余計に5分かかったことになります。

号砲が鳴ってからスタートラインまでのロスが5分。ぺーサーが号砲からの時間で目標タイムを設定しているのならば、これまでのペースで行けばなんとか間に合うかもしれません。

これまで通りと変わらないキロ7分で行ければ、です。

「行けるわけないじゃん」

と、尻尾の生えた「悪魔のしん」がささやきます。

「5時間は切れなくても、自己ベスト(5時間16分)は更新できるよ」

「途中で歩いちゃっても、自己ベストは更新できるよ」

鹿児島マラソンは、錦江湾沿いを走るためにアップダウンがないコースと思われがちですが、実際はちょこちょこと上り下りがあります。上り坂のたびにあえぐ私の頭のなかに、「歩いちゃっても自己ベストは更新できる…」という誘惑の声が聞こえます。

「自己ベスト」

それは5時間切りがほぼ絶望という状況のなか、「完走」よりも甘い果実です。走り続ける苦しみからちょっとだけ逃れても、ちょっとだけ歩いてしまっても、手に入るのものなのですから。

そもそも、ペースを上げたくても力が出ません。

36キロでキロ7分16秒

37キロでキロ7分31秒

38キロでキロ7分39秒

ぺーサーに近づくどころか、離れていくペース。体はきつい、「悪魔」は誘惑する。苦しい、かなり苦しい展開が続いていますが、「なんとかここまで来たじゃないか。もう少しがんばれ」と「天使のしん」が励ましてくれます。

そして、やはり沿道の声も励ましになります。錦江湾の海上にいたカヤックから声援が聞こえてきました。走りながら手を振ると、向こうもパドルを振ってくれました。エイドで一列に並んだ学生たちと連続ハイタッチをすると、こちらも笑顔になって、また力がわいてくるのです。不思議なものです。

 

仙巌園をすぎ、ちょっとした坂をのぼってトンネルを抜けると、ゴールまであと2キロちょっと。キロ8分までペースは落ちましたが、なんとかここまで歩かずにこれました。れいに電話をかけ、数コールして切りました。もうすぐゴールすると知らせるためです。5時間まであと14分。完走と自己ベスト更新は、達成できそうです。

「やりきった…」

と思っていたとき、沿道から大きな声が聞こえたのです。

「5時間切れる!」

少し前を走っていたランナーへの声援でした。はっと気づきました。これから先はJRの陸橋以外、上り坂はなかったはず。そして今は、軽い下り坂になっている。残りあと2キロちょっとをキロ7分で走れば、なんとか間に合うんじゃないか。

 

「ええい、行ったれ!」

 

思い切ってスパートをかけました。「足がぶっこわれてもいい」と覚悟を決めました。

雨はほとんど降っていませんでした。下り坂でどんどんペースが上がっていきます。

41キロのペースはキロ6分13秒。

まだこんな力が残っていたとは。しかし、まだゴールは先です。そして陸橋の坂をがんばって駆け上がります。息があがる。苦しい苦しい苦しい。

1キロ刻んだ腕時計が「ピピッ」と鳴りました。

42キロのペースは6分46秒。GPS時計の測定誤差もありますが、ゴールまではあと数百メートル。

「行けるぞ」

陸橋を上がってしまえば、あとは鹿児島市役所前のゴールまで一気に行ける。もう時計は見ません。ただ走るだけ。走るしかない。走れ。

市電の通りに入ってからは直線。沿道に人が増えてきました。れいはどこにいるだろう。でも、ペースを落とすわけにはいきません。

そして、市役所前のゴールが見えてきました。5時間4分台のタイム表示が見えました。これが5分台になったらだめだと思って、最後の力を、文字どおり振り絞りました。

 

帰ってきた。

5時間切りだ。

がんばってよかった。

歩かなくてよかった。

あきらめなくてよかった。

ゴールの脇に、手を振るれいが見えました。

 

そして、5時間4分台でゴール。手元の時計を見ると、4時間59分のタイム。どうやらなんとか目標の5時間に間に合ったようです。

2014年のNAHAマラソンから6回目の挑戦にして、ようやく手が届いた目標のサブ5でした。

 

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れいからお茶のペットボトルをもらって別れた後も、放心状態と疲れでしばらく動けませんでした。 

バスタオルやお水、バナナ、完走メダルをもらい、宝山ホール前の完走証の受付へ。かなり長い行列ができていて、ここで汗と雨でぐっしょり濡れている体が、一気に冷えました。

そして、公式の記録をもらったところ…、

 

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なんと、残りわずか22秒の5時間切りだったことがわかりました。どこかでペースをゆるめていたら、達成できていなかったわけですね。もしくは、35キロのトイレで、待っている人がもう一人多かっただけで……。

 

危なかった………。

 

配られていた豚汁を飲んでも体が温まりきらず、このままでは風邪を引きそうだと、早めに自宅まで歩いて帰りました。れいがお風呂を張ってくれていて、熱々のおでんを(汗もかかずに)食べて、ようやく体が温まりました。

地元テレビのニュースが「春の訪れを告げる鹿児島マラソン~」などと枕詞をつけてましたが、春がいったいどこに来たんじゃい!と、ぐっしょりぬれたランナーみんなが突っ込みを入れたのではないでしょうか。

 

そんなコンディションのなかで、自己ベストが出せたのは、

・サブ5のぺーサーにひたすらついて行ったので、手元の時計を見ながら走る必要がほとんどなかった。集中力も維持できた。
・たまたまコンタクトレンズを付けて初めて走り、大雨のなかで視界がさえぎられることがなかった。
・前日に散髪に行って、100~200グラムぐらい体重が軽くなった。

ということが考えられるかと分析しております。はい。

 

ちなみに、最後のラップです。

 

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40キロからスパートをかけ、最後の最後は、600メートルの計測ですが、今回最速のキロ6分3秒で走っています。どこにそんな力が残ってたのでしょう……。

マラソンというのは本当に気持ちで走るものだと、改めて思った鹿児島マラソンでした。

 

大会運営の方、沿道で応援してくれた方、いつもサポートしてくれるれいに感謝です。

ありがとうございました!!