しんです。
6時前に起床したころは霧雨が降っていましたが、まもなく雨雲は過ぎていき、傘も持たずに大阪の自宅を出ることができました。
三ノ宮に向かうJRの電車に乗っているのは、やはりランナーばかり。駅の構内もカラフルなウェアのランナーでごったがえしており、お祭りのように賑やかでした。
またちょっと霧雨が降ってきたのですが…、
着替えや手荷物を預ける場所になっているみなとのもり公園(震災復興記念公園)に着くころには、きれいに晴れてくれました。
手荷物を預けるには、あらかじめ割り振られたゼッケンナンバーごとにトラックが決まっていて、そこに持っていくのですが、まったく混雑もしておらずスムーズでした。
8時すぎには、割り振られたスタートゲートに入りました。NAHAマラソンと違って、後から来た人は最後尾へ、なんてことはなさそうです。
スタートセレモニーでは、ランナーみんなで「ひまわりの手袋」をして、空に両手を掲げます。ひまわりは、阪神大震災からの復興のシンボルです。
いよいよ号砲が鳴りました。42キロの長旅のスタートです。私はEグループにいたのですが、スタートから8~9分遅れてスタートラインを越えました。
スタート地点に藤原紀香さんがいたので、手を振ってしまいました。ミーハーですな。遠目には有森裕子さんかどうかよくわからず、いわんや知事や市長は探す気も……。
ランナーが密集体形のまま、神戸・元町を駆け抜けていきます。もっとゆっくり走らせて……。
ところで、「5年連続落選」と書いた紙を掲げていた沿道の人には笑ってしまいました。
途中で新長田駅を通過したのですが、残念ながら「鉄人28号」のモニュメントの写真が撮れず…。狭い路地を曲がってすぐ、いきなり登場したので、カメラを構える時間がありませんでした。鉄人は背中向けていたけど…。
次なる目標は、明石海峡大橋です。まだまだ遠いなぁ……。
スタートから1時間ほどたったころに、持ってきていた最初の補給食を食べます。まずは「ザバスピットイン ゼリーバー」を。柔らかめのようかんみたいで、これぐらいの食感があると、食べた気になりますね。おいしかったです。次もこれにしようかな。
10時15分ごろ、スタートして1時間あたりで海が見えてきました。
須磨浦公園の前では、武将?の人たちが。
10時50分、約15キロを過ぎたところで、視界が開けて、明石海峡大橋が見えてきました。
明石海峡大橋のたもとでコースは折り返しますが、まだ18キロ、ゴールまで半分も来ていません。
でも、体はけっこうバテてきました。NAHAマラソンでは、キロ7分ペースで走っていましたが、今回はちょっと速めた6分20~40秒ほど。気になっていた左足がまったく痛くなかったので、ペースを上げていたのです。練習でもこれぐらいで走って最後はけっこう疲れていたので、やはり速すぎたのでしょう。
バテたのは、ペースのほかに暑かったせいがあるかと思います。長袖のタイツの上に参加賞Tシャツを着て走っているのですが、もう汗だくです。
ここから先は足全体が重くなってしまい、ひたすら苦行の旅でした。
何度も歩き出したくなりましたが、急きょ個人的なルールとして、①給水所、②トイレ、③5キロごとのストレッチ、以外ではたとえどんなゆっくりであっても走り続けることに決めて、ゴールを目指しました。
トイレの数が多くて待ち時間が少なかったこともあり、このあたりでのペースは遅くともキロ10分ほど、だいたい8分30秒ぐらいを維持して走っていました。
3時間あたりで、3本目の補給食を。前2回がゼリーバーだったのですが、今回は「ザバスピットイン」のエネルギージェル。
ゼリーバーがおいしかったのですが、こちらを飲んでみたら……あまりのこってり濃縮味に、疲れも忘れるほどびっくり。味はピーチ風味だったのですが、「もしや間違えてウメ風味を買ってしまったのでは…」とパッケージを見返してしまうぐらいのすっぱさでした。
しかも給水所ではないところで飲んでしまい、さらにこういうときに限ってなかなかなく、「水をくれぇ……」と悶絶しながらしばらく走る羽目になりました。
このエネルギージェル、栓を閉められるのが利点です。走っているときにすっぱいものや塩味はありがたく、がまんしながらちょっとずつ飲んでいると、次第に慣れておいしくなってきました。
それにしても補給食は、レース当日には試さないようにしましょう。
苦しいときは、見知らぬ周囲のランナーが「仮想ライバル」として支えになります。このあたりでは、ほとんど同じペースで走っていたパンダのコスプレをした方をライバルにすえていました。しかし、じわじわと引き離されていき、その次はドラえもんのコスプレをした方を併走相手に選びました。「ドラえもん、がんばれー」という沿道の声援を自分への声援だと勝手に脳内変換してがんばったのですが、給水所に寄ったところで見失ってしまいました。
コスプレランナー、恐るべし……。
次はどうすんべ…と思っていたら、沿道のギャラリーがどんどん増えてきました。郊外から街へ近づいてきたのです。
34キロ地点の給食所には、薄皮チョコパンがありました。疲れた体に、甘いものがおなかにしみます…。そういえば、ほかの給水所にはようかんもあったはずですが、残念ながらスルーしてしまったようです。
走りながら振り返って写真1枚。こういう無駄な動きをするから、疲弊するんでしょうね……。
あまり土地勘がないのですが、気がつくとumieのあたりまで戻ってきていたのですね。ギャラリーの数がかなり多くて、すごい声援が背中を押してくれました。
そして、すぐに難関が待ち構えているのです……。
150メートルで一気に10メートル上がる「浜手バイパス」の入り口です。「自動車専用道路なので神戸マラソンでしか走れません」とコースガイドにありますが、ひたすら耐え忍んできたランナーにとっては、こんな坂はうれしくない! 走らなくていい!
ここで私の体に異常が発生しました。ちょっと深刻そうです。
坂を上がっている途中に、右足の太ももがわずかに引きつり始めたのです。こむら返りが太ももにきそうな感じで、無理をするとヤバそうな気配になってきました。さすがに太ももがつったら走行不能でしょう……。
もうゆっくりゆっくり、ただ足を止めないように、下を向いて走り続けます。そして上がりきったところに…、
ポートタワーが見えました。帰ってきた感じがしましたね~。
(そういえば写真撮っているあいだ、足が止まってましたね。てへ。)
あと5キロほど。ここからは根性見せどころです。ちょっとだけ雨がパラつき始めたのですが、なんとかこのままもってほしいなぁ。ゴールにいるれいも、きっと傘を持っていないでしょうから。
このあたりで私が「仮想ライバル」にしていた一人が、白髪のまじった小柄なおじさん。なよなよっとした柳腰な走り方をしていたので、私は勝手に「クリス(松村)」と呼んでいました(本物のクリス松村さんがこういう走り方をするのかは知りませんが)。ゆっくりと走り続ける私が じわーーーっと抜いていくと、クリスはいつの間にかペースを上げて抜き返していくのです。おのれ……。
ライバルのもう一人は、名前をだしちゃいますが、「長江さん」。背中にあったゼッケンをみて、朦朧とした頭で「長江?、揚子江? あぁ、ながえさんか」などとバカなことを考えていたのですが、気がつくとほとんど同じペースで走っていました。この方もほとんど歩かずに走り続けていて、とても励みになりました。
クリスさんも長江さんも、気がつくとどうやら私が抜いていったようで、後から姿が見えなくなりましたが、きっと無事に完走されたことでしょう。お顔も存じませんが、一緒に走ることができてよかったです。
海の上を走ります。風がほとんどなくてよかったです。高速道路ですがけっこうアップダウンがあり、太もものけいれんを気にしながら走ります。
ここにも給水所があったのですが、某おかし(キノコの○)を配った後にお水を出してくれないと、口のなかがパサパサになったまま次の給水所まで走らないといけないじゃないですかぁ……。
まもなく高速を下りて、ポートアイランドに入ります。しかし、そこからそのままゴールに向かうのではなく、しばらくくねくねと島のなかを走らされるのです。
ここも精神的につらいところで、写真を撮る余裕はまったくありませんでした。
40キロ手前にある最後の給水所でれいに電話。予定通りゴール手前で待っているそうです。あとちょっとだ!
でも、太ももはまだプルプルプルプルしてるのよぅ…。
いよいよ最後の直線です。しかし、見えてきたゴールはまだまだ遠…かったのですが、大勢のギャラリーのなかにいるれいともうまく合流できて、最後にふんばる力をもらいました!
あともうちょっと……。
ゴールしましたぁーーーーーー!!
2度目のフルマラソンも、体はボロボロですが、なんとか完走できました。走っている間は「なんでこんなことをしてるんだろう」と後悔ばかりですが、走り終わると「参加してよかった」「がんばって走ってよかった」と思うのです。
それにしても、今回は沿道から応援の言葉だけでなく、何度も「ありがとう」という言葉をかけてもらいました。地元の道を何時間も封鎖して走らせてもらっているのはこちらのほうです。給水所やコース警備のボランティアの方からも、たくさん暖かい言葉をかけてもらいました。
NAHAマラソンも沿道の応援がとっても暖かい大会でしたが、神戸マラソンも気持ちよく走れた大会でした。ありがとうございました。
というわけで、結果です。
走ったコースはこのように。本当に明石まで行って帰ってきたんだなぁ…、と今さらながら思います。
タイムはこちら。
記録は5時間16分43秒(スタートラインを越えてからのタイム)。NAHAマラソンは5時間44分55秒だったので、30分ほど短縮したことになります。目標だった5時間切りはかないませんでしたが、「完歩ではなく完走」という目標はとりあえず達成できたかなと思います。
自宅に帰り、泡で乾杯しました。「ミラクル」という名前だったので、思わず選んでしまいました。イースト香が強いですが、上品な味わいで、とてもおいしかったです。
次回は12月の奈良マラソンです。
とりあえず今は、あまり考えないでおきます……。