しんとれいのワインな日々

健康に気をつけつつ、飲んだくれてます

読んでみた「天地明察」

しんです。


グアムで読んだ本の2冊目です。

天地明察

天地明察


のぼうの城」と違って、こちらはハードカバー。重かったです。でも、これは天文好きとしては読んでみたかった本でした。
お話は江戸時代、日本独自の暦を作った渋川春海の物語です。時代モノではあるのですが、戦いのシーンがあるわけでも、大奥のどろどろがあるわけでもなく、戦国から太平の世へと時代が切り替わる時期の様子を面白く描いています。
二転三転のドラマがあり、涙があり、恋もありとなかなか読み応えがあります。科学や数学の楽しさ、奥深さがにじみ出ています。
お勧めできる本です。


評価ですが、75〜80点というところでしょうか。
ネタバレはできるだけ避けますが、いくつか不満がありました。
・暦がいくつか出てきますが、そもそもどのような理屈のモノなのか、まったく触れられていません。ここを説明するにはかなり専門的ではあるのですが、このあたりの変革の描写を期待していた読者には物足りないでしょう。少々とっつきにくくはなっても、当時わかっていたレベルにとどまるものだったとしても、ある程度の科学的な説明が必要だったでしょう。
・上と関連ですが、それまでの暦の「誤差」がどれだけの影響だったのか、変えないといけないほどのモノだったのか、今ひとつ理由がしっくりきません。「触」の予報をはずす程度では、実生活に影響はないでしょう。
・碁についての描写がいまひとつでした。碁の技術的なことも中途半端だし、おかげでせっかく面白い登場人物であるはずの本因坊道策とのからみが生きていない。
・後半は駆け足すぎ。春海が老獪になっていく様が、今ひとつ説得力が感じられない。


これも「のぼうの城」と同じく、本屋大賞を取った本です。「のぼうの城」ほど残念ではありませんでした。私にとっての本屋大賞の評価は、なんとか踏みとどまった、という感じです。